恋蝉 /こいせみ... ミハルチェリー 2006/07/20(Thu) 12:46 No.86
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夕闇に、ぽつんと月明かり。 雨上がりの夜空、星の粒は見えない。 しんとする夜の中で、さみしくひとり鳴いているのは、 ちいさな夏の虫か、それとも、ちいさなあたしか。 恋の蜜は、もうとうにないというのに、 それでもまだ、きみにしがみついているあたしは、 七日を過ぎても、離れることも、消えることもできない。 きみには届かないところで、きみに届くようにと、 祈るような気持ちで鳴き続ける、あたしのかすかな声。 いつかって、いつの日かって、そう、願うけれど、 いつかって、いつ。 いつの日かって、いつ。 来るかわからないそんな日を、あたしはずっと、待っている。 たとえこのまま、ちいさな抜け殻となってしまっても、ずっと。 |
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